心地よい在宅

基軸通貨国の管理通貨制度への移行が恐慌への第一歩を形成したと考えられる。 モノとカネとが決別状態にある中で起こったという点で、従来の資本主義論的な恐慌の理解をどうも逸脱している。
しかも、むしろモノと決別したカネの暴走に問題の焦点がある。 かくして、あらゆる意味で、二○世紀までの恐慌現象とは性格がかなり違う。
一二世紀型である。 そして、世界同時多発的に進行している。
これぞ、まさしく「一二世紀型グローバル恐慌」である。 そして、今を考える「メイン・ストリートを守れ」のプラカードを掲げたGMの労働者(APImages)に危機感はあったかまずは、二○○八年二月一四・一五日にかけて開かれたいわゆるG別(主要二○ヵ国。
日・米・欧および中国・インド等の主要新興国)金融サミットをみよう。 この会合に着目する1金融サミットの残された課題二一世紀型グローバル恐慌。
これが浮かび上がって来た今の状況のイメージである。 二○世紀までの歴史の中で我々が認識して来た恐慌現象と、基本原理は全く同じだ。
だが、同時に二一世紀グローバル時代の時代状況と歴史的到達点を反映した新しい姿を呈している。 このグローバル恐慌は、世界を今どのような場面に追い込んでいるか。
そのことに対して、世界の政策は的確に対応出来そうであろうか。 地獄の扉が開いておよそ三カ月が経過した。

何が這い出して来たか。 現状をみていく。
のは、ここがグローバルな対応への一つの出発点だからである。 グローバルな恐慌には、グローバルな対応が必要だ。
その初めの一歩がこの会合で踏み出された。 正しい方向に、的確な歩調で出発することが出来たか。
一言でいえば、ギリギリ滑り込み合格といったところだ。 決してほめられた成績ではない。
なぜ、そうなるのか。 まず第一に、会合のネーミングがいけない。
もっぱら「G別サミット」という言い方で報じられたがこれがよくない。 会合の名称はその開催意図を表す。
どのような意気込みを持って参加者が議論に臨むべきであるのかの指針となる。 その意味で、名称は重要だ。
ところが、それが「金融市場と世界経済」である。 いかにも間延びがしていて緊迫感が感じられない。
かりにも、グローバル恐慌への対応を考えようという会合である。 恐慌の認識をどこまで共有していたかはともかくとしても、九月以来、世界各国を襲って来た状況のすさまじさを考えれば、もう少し緊迫感が伝わる名称はなかったものかと思う。

何しろ、そこには、「危機」という言葉さえ出て来ないのである。 名は体を表す。
はたして、会合の合意内容はおよそ迫力に欠けるものに止まった。 ■世界不況回避に向けて・内需刺激のための金融政策と財政出動を行う。
金融システム安定化に向けた財政措置も追加する。 ・保護主義を排除。
向こう一年間は新たな投資規制・輸出制限などを課さない。 ■金融危機再発防止に向けて・全ての金融市場・商品・市場参加者を対象に規制を強化する。
・格付け機関に関する登録制を導入する。 ・金融機関役員に関する報酬制度を見直す。
・金融監督当局間の連携を強化する。 ■国際的通貨金融フレームの改革に向けて・新興諸国等の資金繰り支援を強化する。
・新興国の代表権と発言権を拡大する。 骨子は下記の通りだ。
生命維持装置を外す時さて、以上の内容には、大きな減点要因が一つある。 他方、小さな加点要因も一つだけある。
その他の面では、概ね可もなし、不可もなし。 課題には一応対応している。

だが、これといって光る点は見当たらない。 大減点要因は、地球経済挙げての集中治療室入り問題への言及がないことである。
その後始末について、一切、何も語られていない。 地球大の集中治療室に配備された生命維持装置は、既述の通り大別して三つある。
一に金融機関への資本注入、二に銀行間融資に関する政府保証、そして三に預金に関する全額保護措置だ。 多くの国々が、これら三つの対応で金融システムのショック死をとりあえず食い止めている。
これらの生命維持装置を何時、どうやって外すのか。 金融システムの自律的生命力を復元するには、何をどうすればいいのか。
何を基準に生命維持装置を除去するタイミングを決めるのか。 一度、装着した生命維持装置を外すことはとても難しい。
この厄介なテーマについての言及がない。 だから、大減点である。
小加点要因は、保護主義回避に向けての合意を表明したことである。 経済が失調すると、誰もが自己防衛に走る。

輸入を規制したくなり、ダンピング輸出で当座のカネを荒稼ぎしたくなる。 その誘惑に負けないようにしよう。
この点でG別の各国が合意した。 ここでも考えるテーマだが、グローバル恐慌が深化する中で、一番恐いのが実を言えばこの保護主義の蔓延である。
この道に踏み込むと、グローバル経済は確実に分断と対立の時代を迎えることになる。 それを避けるべきだという統一的な意志表示が出来たことは評価していい。
ただ、合意したのは、向こう一年間にわたって、新たな貿易制限的措置の発動を自粛しようということだけである。 自国の産業・企業への救済措置については、何も言及していない。
国内産業への保護・救済の乱発は、形を変えた保護主義だ。 それが今、多くの国で検討されている。
それについて、見て見ぬ振りをした点は評価できない。 哲学なきサミット可もなし不可もなしの域に落ち着いたその他のテーマについても、首を傾げたくなる点がいくつかある。
まず、「金融危機再発防止」の見地から挙げられている項目は、いずれもアメリカ並みにモグラたたき型である。 何はともあれ、取り急ぎ、今回の展開の中で問題となった点は全て挙げておこう。
そして、規制強化の方向を打ち出しておこう。 そのような雰囲気だ。

格付け会社の利益相反が問題になったから、彼らに関する登録制の導入を盛り込む。 金融機関の高額役員報酬が蜜壁を買ったから、その見直しを打ち出す。
そんな調子である。 そこには哲学も理念も感じられない。
こんな時に、哲学も理念もないだろう、そんなものにこだわっている暇があれば具体策を、という反論もあるだろう。 だが、グローバル時代始まって以来の大波乱に当面しているというのに、そのことが持つ意味について認識を共有せずして、何が出来るというのか。
今回打ち出された諸項目について合意する程度のことであれば、何もわざわざ首脳たちが一堂に会することもなかったろう。 国際金融システムの見直しというテーマに関していえば、そもそも、なぜこれを今回のサミットの枠組みの中で議論する必要があったのかが解らない。
グローバル時代に対応した新通貨金融体制の構築という課題は、世界的な論議の姐上に上って久しい。 今に始まった話ではないのである。
その論議が成果を生んでいないから、今回のようなことになる。 そういう主張もあるだろう。

確かに、現行のIMFがグローバル時代の実態に照らして、いかにも時代錯誤的な面を持っていることは間違いない。 改革は必要だ。
だが、地球大の大不況入りが垣間見えている今、敢えてそれを話題の中心におくのは何故なのか。 途上国や新興国への緊急融資体制の強化については納得出来る。
信用収縮が地球的に波及する中で、アジアの新興国や途上国、そして中・東欧の国々が相次いで資金繰り難に陥った。

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